こだまと云っても、ヤッホーでも新幹線でもありません。かつて自分が発した言葉が、自分自身に戻ってくることがあります。云ったことが巡り巡って、しっぺ返しのように自分に戻ってくると云う意味ではなく、ただ純粋に、自分の言葉が自分の目前に戻ってくることがあります。かつて書いた日記を読み返すとか。昔自分が出した手紙を、何らかの因果であとになって自分で読むことになるとか。

私の場合には、かつて取材されて答えた内容が、時間差を伴って自分の目の前に曝されるとか。そんな「こだま」に出会うことがあります。自分のこだまにどんな感覚を持つか。

懐かしい?ちょっと違う気がします。こだまはいつも若い。こだまは常に青く、未熟で、荒削りです。こだまは、より不完全ですが、どこかに正しい、強い筋がある気がします。

そんなこだまが、私は好きです。こんな事を云うと、年取ったように聞こえるかも知れませんが、実はずっと昔から、子供の頃からそう云う感覚を持って来ました。誰でもそう云うものでしょうか。偶には自分のこだまと酒を交わしてみるのも、これまた一興ですね。