縁は異なもの味なもの、とは男女の仲のことを云うそうですが、必ずしもそれだけとは限らないでしょう。一年に一回、私は自分のポートレート撮影をします。「気持ち悪い奴だなぁ」と思わないで下さい。マスコミや公の団体などから、顔写真や上半身の写真などを下さいと云われることはママあり、そんな時のために予め撮っておく訳です。昔の写真を使ってもいいのですが、やはり顔、身体、服装に変化がありますから、詐称とは云わないまでもよろしくないかと考え、定期的に毎年一回撮り直す訳です。

さて、その撮影を、本日午後、小一時間ほどしておりました。その真っ最中に、突然、予期せぬお客様が会社にいらっしゃいました。金融・経済界では、と云うか社会的にとても有名なTさんです。私との対談収録のつもりでいらしたのですが、実はその収録はリスケジュールされており、どう云う訳か出版社からTさんにそれが伝わっておらず、忽然と現れたのです。これにはビックリしました。

撮影を暫し中止し、私は挨拶をしました。しかしわざわざいらして下さったのに、私たちの落ち度ではないと云え、そのまま「では」とお返しするのもなんだと思い、また折角プロの写真家にも来てもらっているので、二人の写真を撮ってもらうことにしました。二人で仲良くおひな様のように並んで座り、大きく笑っている写真、そして怒ったように真面目な写真。スナップ写真ではなく、明らかに準備して撮ったような雰囲気・背景の中で、意味不明の、不思議なツーショットが撮れました。奇しくも今日はTさんの誕生日とのこと。不思議なプレゼントが出来ました。尊敬しているTさんですから、私にとっても密かな宝物になります。Tさんとは、某雑誌でも並んで連載などもしております。縁は異なものと云うか奇なるものだなぁと、そう思ったのでした。