29年前、1978年11月21日、あの「空白の一日」は起きました。筋金入りのアンチ巨人だった中学生の私は、巨人は更に嫌いになり、元々憎たらしいと思っていた江川は、更に憎く思えました。一方小林は、無口でありながら細身を目一杯に使って熱投し、且つ巨人に次々に勝っていく様(対巨人戦8勝・負けなし)は、まさに悲劇のヒーローで、マッチョでないだけに更に男らしく見えたものです。時は経ち、私の中の江川に対する印象も変わっていき、逆に数年間日本プロ野球での活躍が出来なかったことを、残念に思うようになっていきました。
空白の一日の主人公は誰だったのでしょうか。20代前半だった江川と小林の当時の胸中は、実際のところ如何なるものだったのでしょうか。あれから29年。なんとその二人が、黄桜のテレビCMで共演するとのこと。今まで言葉を交わすことのなかった二人が、CM撮影でお酒を交わしながら、29年前のことなどを話したそうです。ドキュメンタリー形式のCMは、今日から放映されるとのことなのですが、今から見るのが本当に楽しみです。二人の間の距離感、視線、声や言葉の感じ。どうなっているのでしょう。全てが気になります。29年の歳月を経て、二人の中で何が変わり、何が変わらなかったのでしょう。
報道によると、事前の打ち合わせをせず、いきなり二人を会わせての、ぶっつけ本番のCM撮影だったようです。とても興味が湧きます。そしてそのやり取りを見る私の中でも、29年のうちに何が変わり、何が変わらなかったのか。本当に興味深い観察機会を提供してくれたこの企画の関係者に、感謝したいと思います。