先日、小説についてつぶやいたばかりですが、どうもスイッチが入ってしまったようで、最近やたら小説を読んでいます。正確に云うと、「新しい小説」を買って、読んでいます。私は案外古風なところがあり、読む小説は古典、もしくはそれに類するようなものばかりで、どんなに新しいものでも数十年ほど古いものだったのですが、最近、現役の若手作家の小説を読むようになりました。
これは私にとっては、生まれて初めてのことです。お目当てのものがあって買いに行くのではなく、週末、ただ「本屋」に行って、文庫売り場をふらふらとします。題名や表紙の雰囲気を見て手に取り、裏表紙の説明を読んだり目次を見て、興味が湧きそうだと中身をパラパラとめくり、内容を読むのではなく、ちょっとした言葉遣いや、視覚的な凸凹感、即ち地の文とカギ括弧で括られた発言部分とが織り成す、紙面上の活字部分と白地部分との風景や、そんなものから自分との相性を測り、何冊か買います。

しかしかなりべらぼうな選び方だと思われるのですが、このような選び方で選ばれる本は、一回の本屋訪問の中でせいぜい2冊が限界で、しかもそのうち平均1冊はかなり気に入るので、まぁどこかで意味のある選び方なのかも知れません。そして主に寝る前に読みます。現役作家、ほぼ同年代の作家の小説なんてつまらないと思っていたのですが、それが嬉しい誤算で、心に染み入る作品にいくつか巡り会えて、私はゴキゲンです。

私もそれなりに歳を取り、同時に私の同年代も歳を取り、心のヒダをそっと優しく再現してくれることが出来るようになり、そして私も適度な距離感でそれを感じられるようになったと云うことでしょうか。一時的なマイ・ブームだとは思いますが、暫くは身を(心を)委ねてみようと思います。