私は何故かアイリッシュと相性が良いです。正確には、アイリッシュ・アメリカン、アイルランドを起源とするアメリカ人です。ウォール街で働く白人には、いくつかの人種的派閥があります。主なものとして、ジューイッシュ、イタリアン、そしてアイリッシュ。人種や出身地によって人をグループ分けすることは、差別に繋がりかねないとても危険なことですが、アイリッシュ、もしくはそれ以外の人に対する偏見ではなく、偶々多くのアイリッシュの友人を持った私の、個人的な友人感として読んで頂ければと思います。

大学を出て米系投資銀行に就職した時の、ニューヨークに於ける最初のボス・DL。彼は私をいつも、そして今でも、仲のいい友人のように扱ってくれます。彼は、「友人には浅い友人も深い友人もない。”友人”と云う一種類があるだけだ。」と云います。蓋し名言。

未だに金融界の大物として尊敬する、最初の会社の大ボス・JM。彼は栄華の時も、奈落の底でも、姿勢や振る舞いを一切変えなかった鉄人です。彼も常に私を一人前のビジネスマン、友人として扱ってくれ、そしてまた、プライドとは何か、を身を以て教えてくれました。そして会う時はいつも、最後に私の健康を気遣ってくれます。私は米系投資銀行を一度転職していますが、その二社目の会社で、先日勤続25周年を迎えた・MR。彼女は朝まで酒も煙草も飲む豪傑ですが、仲間コミュニティの維持には欠かせない、かすがいのような存在です。

そしてその二社目で、男らしいリーダーとしての生き様を見せてくれ、教えてくれたボス・MD。JMと共に、矜持であるとか、ビジネスマン・組織人としての大切な根本価値観を教えてくれました。実はこれらは小さい時から身に付けていた常識的な価値観となんら変わらないのですが、それらがウォール街の仕事の中でも、やはり一番大切なことであると云うことをクリアに再確認させてくれた訳です。彼は還暦を優に超えた、私の父親に近い年齢ですが、つい先日も朝まで飲んで飲み続けて語り合い、私をあくまでも対等の友人として扱ってくれました。

こんなアイリッシュの友人達との付き合いを、これからも大切にしていきたいと思います。