香港で気になることが起きました。香港最大の財閥である長江グループの総統(李嘉誠 Li Ka-shing)の息子、李澤楷(Richard Li)は、香港最大の固定通信会社PCCWの筆頭株主であり、会長です。アメリカとオーストラリアの投資家が、このPCCWの通信事業を買収しようとし、李会長が交渉をしていたのですが、昨晩になって突然、持株の殆どを中国本国との関係が強いと目される香港の投資銀行家(個人)に売却すると発表したのです。報道によると、理由は、北京政府が香港最大の通信事業が外国人の手に渡ることを嫌い、法的な拘束力はないものの横槍と云うか圧力をかけ、北京政府との関係悪化を懸念した李会長が、このような結末を演出したと云うのです。これは大変気になります。
或る国の資産を、その国から見た外国人が買おうとすることは、その国に資本が持ち込まれ、かつ同時にお金以外の様々なリソース(人であったり、アイデアであったり)が持ち込まれることに繋がり、その国にとって基本的に良いことです。更に、国際的な資本の流通と云う意味に於いても、国際資本市場にとって良いことです。中国は今後、大量の資本やリソースを海外から導入する必要がある筈です。報道の観測が正しければ、北京政府がこのような姿勢を取ることは、間違った保護政策である可能性があります。幸い香港株式市場は殆ど反応しなかったようですが、今後注意深く見ていくべきだと思います。