先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は反発、香港ハンセン指数は続伸となりました。上海総合指数ですが、週初は中国当局による自動車保険の管理強化の観測で保険株が売られた他、原油価格の下落で資源株が売られ軟調なスタートとなりました。しかし、6日(火)を小反発で切り返すと、7日(水)は2週間振りの大幅上昇に。これは中国当局が金融業界の金銭的な負担を2017年に、およそ1兆元軽減する取り組みの一環として、銀行や保険会社から徴収する手数料を削減させる方針を発表したためです。
さらに8日(木)は中国の5月の輸出入が好調だったことから続伸となり、9日(金)も好調ムードが続いて4日続伸で、上海総合指数は1ヶ月半振りの高値を付けました。結局、上海総合指数は前週末比1.7%高の3,158.400ポイントで引けています。なお、5月の輸出(ドルベース)は+8.7%<市場平均予想+7.2%、4月実績+8.0%>、輸入は+14.8%<市場平均予想+8.3%、4月実績+11.9%>となっています。その他の経済指標は、5月のCaixinサービス業購買担当者景気指数が52.8<4月実績51.5>、5月の消費者物価指数は+1.5%<市場平均予想+1.5%、4月実績+1.2%>となり、全般的に経済指標は好調でした。
一方、香港市場も週初は軟調な展開に。中国当局による自動車保険の管理強化の観測で中国本土系の金融株が売られた他、ロンドンのテロの影響からHSBC(00005)も軟調な動きとなり、相場の重しとなりました。しかし、6日(火)は米国の長期金利が下落したことから香港地場の不動産株が買われたことや、ナスダックが好調な流れを受けて、テンセント(00700)が上昇し、相場を牽引して反発。7日(水)は反落でしたが、8日(木)は中国本土株が堅調なことや中国の経済指標が良かったことから、反発となり約2年振りにハンセン指数は26,000ポイントを回復。9日(金)は英国の選挙で、保守党の過半数割れが確実となったとの報道からリスクオフ姿勢が強まり、中盤から下げて反落となりました。結局、香港ハンセン指数は前週末比0.4%高の26,030.29ポイントで引けています。
上海総合指数のチャートを確認すると、ダブルボトムをつけた後に上昇し、200日移動平均線を上抜けてきました。このまま200日移動平均線近辺での調整をしばらくこなせれば、上昇基調に戻れる可能性が出てきそうです。一方、先週末は米国市場でナスダックが大幅反落となっている影響を受け、今週の香港市場はテンセント(00700)などが売られて軟調なスタートが予想されますが、それでも相場の強い基調は継続しており、大きな調整には発展せず、ほどなく反発するのではないかと見ています。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)