世銀、世界銀行、World Bank、IBRD。これは全て国際復興開発銀行の略称です。かつて債券引受けの仕事にどっぷりと浸かったことのある私にとって、世銀は心ときめく名前です。最もインターナショナルで、最も信頼度が高く(格付が高く)、最も厳しい、取り組み甲斐もありますが、中々手強い、しかしキラキラと輝く理念と使命を持った、素敵な発行体です。

今、当社だけで販売している、100通貨デノミの世銀債は、私のような元債券畑の人間にとっては、実は大声で自慢したくなるディールです。債券は通常、1000通貨(1000ドル、1000ユーロなど)が最小の単位です。これをデノミネーションと言います。今回私たちは、世界で初めて、通常の10分の1である100通貨デノミの世銀債を実現しました。これは、「より広い投資家層、特により若い人達に世銀債に投資をしてもらって、世銀の活動に対する認知と理解をもっと広めたい」、という世銀の考えに当社が共鳴して、100通貨デノミを我々から提案した結果です。

世銀債に投資されたお金は、発展途上国に於ける教育・医療の向上、貧困削減、災害復興、或いは世界の環境保全などに使われます。世銀債を買うことは、もちろん「投資」であり、クーポン(金利)というファイナンシャル・リターンが発生する金融商品です。しかしそれだけでなく、世銀債に投資することは、世界市民として、より良い世界の構築に参加することでもあると、私は思います。

今回の起債−当社に於いては販売−の最大の目的は、世銀の活動を広く知ってもらうためです。今回は更に、お客様が世銀債を購入されると、自動的に当社が購入金額の0.2%を『マネックスのクリスマス債券募金』として、ユニセフを通してパキスタン地震緊急募金へ寄付することにもしています。ファイナンシャル・リターンではない、数字では測ることの出来ないソーシャル・リターンというものも、世の中にはあるものだと思います。