先週の中国株ですが、上海総合指数は続伸、深セン総合指数と創業板指数は反発、香港ハンセン指数は反落となりました。上海総合指数ですが、週初の20日(月)から強い基調で始まりました。キッカケは中国当局が上場企業に対し、新株発行による資金調達に制限する措置を打ち出したことから需給悪化懸念が後退したことです。その他、河北省と天津市の鉄鋼所に生産抑制命令が出されたことから鉄鋼株も上昇しました。その後も21日(火)と22日(水)は続伸。中国人民銀行(中央銀行)が公開市場操作を通じて市場に資金供給を行ったことや、一部銀行に対する預金準備率引き下げの優遇を継続することを明らかにしたことが材料となっています。
ところが23日(木)は反落。当局が資産運用業界の規制について、利回り保証の禁止や保険資金において、短期的な投機や株式の大量取得を取り締まることなどをまとめた草案を発表したことで市場心理が悪化しました。もっとも3月の両会(全国人民代表大会(全人代)と中国人民政治協商会議)に向けての政策期待も高まっているところで下落幅は限定的でした。さらに24日(金)は中国企業改革発展フォーラムで混合所有制改革が進展させると強調されたことから、国有企業改革関連銘柄が物色されて終盤に反発となりました。結果として上海総合指数は前週末比で1.6%高の3,253.433ポイントで引けています。
一方、香港株はまちまちの動き。20日(月)は中国本土株の上昇もあって、中国本土の金融株が特に買われて反発からのスタートとなりましたが、21日(火)は一転して急反落。これは大型株であるHSBC(00005)の決算が市場予想を下回って急落し、中国本土の金融株もこれに連れ安となったためです。欧米の株式市場が堅調なことと両会に向けた政策期待で22日(水)はすぐに反発となりましたが、23日(木)は前述の通り中国で投資運用業界に規制が出たことから、また、24日(金)はナスダックが軟調な動きとなったことから、それぞれ下落となっています。もっとも下げ幅は限定的で香港ハンセン指数は前週末比で0.3%安の23,965.70ポイントとなりました。
今週は引き続き両会絡みの政策期待が相場を支えると思いますが、3月1日に発表予定の2月の中国公式製造業景況感指数<市場平均予想51.2、1月実績51.3>とCaixin製造業購買担当者景気指数<市場平均予想50.8、1月実績51.0>が発表予定であり、この結果が悪いと株価が下落する要因となる可能性があります。また、香港株は日本時間で3月1日(水)に予定されている米国トランプ大統領の議会演説の影響も大きいと思いますので注目です。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)