出生率が下がり続けています。年金を初めとした我が国の財政問題を考えると、これはゆゆしき問題です。GDPの約7割は個人消費ですから、経済全体を考えても、人口が減り始めるというのは緊急事態の筈です。しかし政府の対応はのんびりしています。
生産性が上がれば人口が減っても平気だという説もありますが、人ひとりの食欲・物欲などには自ずと限界があるでしょうから、人口が減って生産性が上がると海外を消費市場として捉えねばならず、これは早晩その国の顰蹙を買うことになり長続きはしません。国内の最終需要を増やすこと、即ち人口の減少を食い止め、出来れば若干増やさなければ、問題の抜本的な解決になならないと思います。しかし政府は、「子供を生む生まないは最終的に個人の問題であり政府には如何ともし難い」とか、「日本は成熟した国なので現代に於いてはこの程度の出生率はむしろ自然である」などの論調が多いように聞きます。私はそれは間違っていると思います。
日本の出生率は1.3以下ですが、フランスのそれは1.9です。日本の方がフランスよりも大幅に成熟しているというのでしょうか?夫婦二人を合わせた収入が多い国ほど出生率は高いという統計もあります。女性の収入と政策は無関係でしょうか?日本は保育園などの整備が遅れています。高齢者向け医療の予算は毎年無規律に増え続けていると聞きますが、新生児対応の予算が増えているとは聞きません。このことと少子高齢化は無関係でしょうか?人口構造計画は、中長期的に見ると国内最大の「政治」ではないでしょうか?私はこの議論は為替の議論と似ていると感じています。
「為替はマーケットが決めるものである」というスタンスがありますが、為替は外交上の最大の「政治」だと思います。為替と出生率に関して、我が国はもっと強い長期ビジョンを積極的に持ち、具体的な施策を実行すべきではないでしょうか。