たった5回目の訪中で、しかも数日の滞在でまとめるのも無理がありますが、取り敢えず感想をまとめてみようと思います。

「中国はとにかく大きい」というのが、この国の魅力でもあり問題です。広大な国土に、一人当たりGDPが欧米に迫る勢いの地域もある一方で、その数分の一の水準しか持たない地域と国民が厖大にいます。北京政府にとっての最大の外交問題は、外国との関係ではなく、そういう内陸部との関係である可能性があります。権力闘争の規模も、恐らく我々の想像を超える人数が絡んでいることでしょう。小泉よりも気になる相手が、国内に大勢いる可能性があります。日本との関係よりも、アメリカとの関係の方が遙かに厄介な問題である可能性があります。

中国は世界の覇権を取り得る国です。アメリカは神経質に中国の近代化をコントロールする必要があるかも知れません。これも、中国が大きい国であるからに他なりません。日本で改革の進行が遅かったように、中国では更にゆっくりと改革が進む可能性が高いでしょう。韓国ではオリンピックを機に一種の民主革命が起こりましたが、中国でそう簡単にドラスティックな変化が起きることはあり得ないでしょう。これだけ大きい国が速く動き過ぎると、世界中を混乱に落とし込み兼ねません。そういった巨大国とどう付き合っていくか。恐らくその答えは、思想や哲学的な解法ではなく、極めて現実的なものなのではないでしょうか。

天安門広場の前に毛沢東の大きな肖像画か掲げられています。嘗てはずっと若い頃の絵が使われていたのですが、最近は数年に一回、ちょっとだけ歳を取らせているようです。毛沢東の人間化も、ゆっくりゆっくりと行わなければいけないのでしょう。私も、ゆっくりと付き合っていきたいと思います。