我が家にやどかりが居ます。夏の縁日で買ってきたもので、殻がペンキできれいに塗られています。段々寒くなり動きが鈍くなってきて、とうとう1ヶ月ほど前に死にました。

或る朝殻から出て、仰向けにだらしなく横たわっていました。屍体を埋めたあと、砂と殻の入ったプラスチックの水槽は片付けずにそのまま床の上に置いてありました。ところが先日、床暖房を付けると、何とやどかりがまた砂の上に現れて、もぞもぞしているのを発見しました。何事だ?!?!?!?!怪奇現象とも思われる事態に動転しましたが、エサの葉っぱを入れておくと、じきに元気になって殻にまた入りました。

どうやら捨てたつもりの屍体は脱皮したあとの皮で、エサも貰えず、寒い所に置きっ放しにされたやどかりは、じっと冬眠していたようなのです。冬眠というよりも、仮死状態という方が正しいかも知れません。床暖房の暖かさで生き返ったのでしょう。やどかりさん、すいませんでした。

子供の頃、生きたザリガニを粘土の箱に泥と一緒に詰めて、ピラミッドと称して山型の墓を作り、埋めたことがあります。残酷な話ですが、子供のことなので御容赦下さい。やはり1ヶ月ほどして、ピラミッドを壊してみると、粘土の箱の中からザリガニは復活しました。怒ってハサミをもたげていた記憶があります。甲殻類の生命力には感嘆するのみです。罪滅ぼしに、やどかりさんは大切に飼っていきたいと思います。