五感の話は前にも書いたことがありますが、ふと、また或る仮説を思いつきました。日本人は大変味覚の優れた民族だと思っています。立派な日本食に限らず、毎朝食べるようなご飯粒と海苔の組み合わせにも、中々馬鹿に出来ない微妙な味わいがあり、全国的に味覚が優れているように私は思っています。視覚と云えばやはりヨーロッパ人でしょうか。文房具、車、オフィスと云った工業デザインから絵画に至るまで、やはりヨーロッパの視覚文化の奥行きには感嘆させられるものがあります。特にあの色使いは、他の地域にはない優れたものを感じます。
聴覚と云うとユダヤ人でしょうか。ピアノにしてもオーケストラの指揮者にしても、ユダヤ人は断トツのリーディング・グループである気がします。ユダヤ人と云えば、もう1つ優れているのはお金儲けです。アメリカでもヨーロッパでもユダヤ資本の収益力は凄まじいものがあり、日本でもお金儲けが上手だと「日本のユダヤ人」などと表現する場合があるほどです。
そこで思ったのですが、お金儲けはやはり聴覚に関係するのではないかと。視覚情報は誰でも広く見られるので、その特殊性が薄まってしまい、お金儲けするには既に遅すぎたり一般的過ぎてしまう。一方、耳から入る情報は、狭い空間の中で交換される情報であり、一握りの人達が儲けることのできる価値を抱えているのではないかと。
まぁ、鮨屋の親爺と酒を飲みながら考えたことなので、かなり適当な暴言と聞き流して下さい。しかし「耳ヨリな情報」とは云いますが、「目ヨリ」とか「口ヨリ」とかは云いませんからね!
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。