一月ほど前に「北枕」について書きましたが、その中の記述に誤りがありました。地球は磁石になっており、北極がN極、南極がS極と書きましたが、これは反対で、北極がS極、南極がN極です。従って、方位磁石のN極が北極のS極に引き付けられて、北を向くことになります。極めて基本的な部分で間違った記述をし、申し訳ありませんでした。
ところでこの磁極ですが、実際には地軸とはずれており、現在はS極(北磁極)はカナダ北部のクイーンエリザベス諸島の中にあり、N極(南磁極)は南極大陸の端(オーストラリア側)にあるそうです。「現在は」と書いたのは、この磁極は今までに何度も逆転しており、少なくとも過去400万年の間には10回もひっくり返ったからです。
最後に逆転したのは73万年前。地磁気が弱くなり、いずれ一旦なくなってから逆転が始まるそうで、今から2000年後にも地磁気はなくなることが予想されているようです。ビックリですね。地磁気は地球のまわりをくるんでおり、宇宙からの有害な宇宙線を地表まで到達させないようなシールドの役割をしているそうで、磁極の逆転時には様々な影響が生態系にも加わる・・・。
これは完全なSF映画の世界ですが、宇宙の営みは斯くも雄大なものです。対比で言うとこれだけちっぽけで一瞬の存在である我々が、しかしこれだけ宇宙のことを解明しているというのも、それは更に大きな驚きです。たまにはこんなことを考えながら、星空を見るのもいいですね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。