ダボス会議でいくつかの興味深いセッションがありましたが、有名経営者の発言はいつも注目を浴びますし、実際聞いていても勉強になるものです。
ピーター・ブラベック・リトマスというネスレのCEOがいますが、歯に衣着せぬ発言で有名です。昨年はアメリカ流のコーポレート・ガバナンスの方式に関して、真正面から批判していたのが印象的でしたが、今年は「CEOは10年後を考えて何をすべきか」というテーマのセッションでいいことを言っていました。ぶっきらぼうに曰く、
「10年後にビジネスがどうなってるかとか、そういうことは分からない。あまりにも先の話だ。ただ一つ分かっていることは人口の推移だけである。それをしっかりと認識・理解することが重要だ。」
まぁ当然のことではあるのですが、中々重みがあります。長いプランほど、極々基本的な要素の方向性について見誤ってはいけないということでしょう。日本の証券業も、人口の推移をきちんと見極めてプランニングすることが何より重要だと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。