今朝帰国しました。そのまま会社に来て仕事してますが、やはり落ち着きます。日本に来ると、「あぁやっぱり違うなぁ〜」と思うことがたくさんあります。まず煎茶が美味しい。これは当たり前ですね、ヨーロッパには緑茶を飲む文化がないですから。
次にトイレがいい。これはちょっと品がなくて恐縮ですが、日本ではホテルのトイレも、オフィスビルの公衆トイレも、最近ではほとんどの所がウォシュレットなどの洗浄機付き便座になっています。公衆の場所にアレが備わっているのを最初に見つけたのは、日銀のトイレでした。もう10年以上も前のことでしょうか。あの時は、「あぁ日銀って凄い金持ちだなぁ」と思ったものですが、今では至る所にあります。
欧米では、どんなに高級なホテルに行ってもアレはありません。日本はやはり豊かなのでしょうか。成田に着陸する時、窓から外を見ていると畑の中に民家がポツポツ見えました。「あの家にも、この家にも、高いヨーロッパ製ブランド品がイッパイあるのだろう」と思うと、やはり日本は豊かだなと一瞬思いました。
しかし本当にそうでしょうか?ブランド品があること=豊かと言えるでしょうか?トイレも然り。一方で日本の街並み、空港を始めとした公共建築物のデザインなどは、明らかにその質感やビジュアル面でヨーロッパに劣っています。ホテルも、便座にシャワーは付いていなくても、部屋にさり気なくアートがあったり、全体の質感、文化感は日本のホテルよりも遙かに高級です。結局はどこにお金や神経を使うかという「選択」の問題であって、全体の豊かさの問題ではない気がします。所変われば品変わるとは、よく言ったものです。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。