『日本では長きにわたり貯蓄促進が重要な政策目標であった。経済全体として資本不足の時代には、政策的優先度に応じて産業に資金を供給することが金融システムの課題であり、そこで資金仲介の太宗を担ったのは銀行である。資本が十分に蓄積された現在、ライフステージに応じ可能な限り有利に運用したいという個人の希望に応えるためには、魅力ある多様な運用対象を、的確な情報とともに、これに投資する知識を備えた個人に提供する必要がある。また、今後、何が21世紀の日本のリーディング産業になるのか不透明な状況下で、リスクマネーの効率的かつ積極的な供給を促し、日本企業の発展を金融面から支えていかねばならない。
銀行のリスク負担能力が限界に達しつつあるなかで、強靱で高度なリスクシェアリング能力を持った市場中心の金融システムに再構築していくことが日本経済の発展にとって不可欠であり、そのためには、資金を供給する個人の意識変革を政策として遂行していく必要がある。』・・・
まるでいつもの私のつぶやきのようですが、実はこれは首相に対する諮問機関である金融審議会が昨年12月24日に提出した
「市場機能を中核とする金融システムに向けて」
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/base.html
の一部です。金融庁が事務局を務めるこの審議会の報告書において、金融・経済に対する的確な洞察と将来ヴィジョンを読めたことは、甚だ僭越で恐縮ですが、安心と、一種の興奮を覚えました。その内容が、きちんと実現されていくことを強く願います。