我が国の政治の無謬性に関連することは、今まで何回かつぶやきで書いてきました(当社HPのトップページの”サイト内検索”で無謬と入力すると、マネログの「小渕首相逝く」「拝啓小泉純一郎様」「ハンセン病訴訟」の3つが最初の3件として検索され、読むことが出来ます)。
今の小泉内閣というのは、この「無謬性の呪縛」から自らを解放している初めての内閣ではないでしょうか?ハンセン病訴訟の件も一例ですが、りそなの処理も、2兆円の公金を使用したが結果として100兆円ほど上場企業時価総額和を増やしたと考えれば、べき論ではなくて利益衡量的発想があるように思えます。
年金支給額のカットの論争も、国としての過去の判断の過ちや約束に束縛されずに、より現実的な解法を将来に対して提示しようとしていると考えられます。かつて福田赳夫氏が「一人の命は地球よりも重い」と発言し国民が感傷的に感動してから、政治は利益衡量的判断をしなくなったのではないでしょうか。しかし国民は、無謬であることよりも、現実的に全体として幸福が増えることを望んでいるのではないでしょうか。外交問題も含め、現内閣の打つ手は現実的であり、かつ過去の呪縛をなくそうとする方向にあると解釈できます。望むらくは、これらの企図が中途半端に終わらず、きちんと我が国を”普通の”国にまでしてくれることです。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。