足利銀行やイラクに於けるテロの件は、市場に一定のインパクトを与えましたが、結局株式市場は上げて終わりました。公的なお金が出動したのではないかという噂もあります。何が起きたかの分析を試みると、足利銀行の件は多分に政治的な面が強い特殊なものなのでしょう。そして、1号処理ではなくて3号処理であろうということは、政治的背景を考えるとある程度市場では織り込まれていたのではないでしょうか。イラクの件も、今回の事件にもかかわらず政府はイラク派兵に関する態度を変えていません。この2件に関する日本政府の断固とした姿勢は、恐らくアメリカ政府とも協議された上での結果ではないでしょうか。当面は、株式市場は政治的な材料に大きく左右されると思われます。株式市場に参加されている方々は、当分の間は政治回りに細心の注意を払う必要があると思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。