以前に、日本は生産性と品質を兼ね備えた希有な国ではないかと書いたことがあります。では日本の高品質とは何かというと、決して車やカメラ・エレキだけではないと思います。何百年という伝統のある色々な日本文化も、やはり日本の品質を表象するものだと思います。しかしそれらの中で、最も質・量、共に大きな高品質は食べ物ではないかと思っています。
これは何も高級懐石のことを言っているのではありません。私の好きな鮨のことでもありません。何処でも普通に食べている食事が、その一般的な水準と規模に於いて、世界に類を見ない、或いは有数の、高品質ではないかと思うのです。何種類もの食材を使った、何種類もの惣菜が、普通のことのように食卓に並べられる。それらを味わい分ける、それらを求める味覚や、それらを維持し続ける生活に、極めて高い文化を私は感じます。日本が世界に貢献出来ることの中には、このように私達が一般にあまり自覚していない部分にも、まだまだあるように思われます。