常々思っていることの一つに、好奇心の重要性があります。同じ能力や情報を持っていても、好奇心の水準が違うだけで、出力というか出来ることには大きな違いがあるということです。
例えばここに新聞の朝刊があり、その中に或る二字熟語が一つだけあったとします。50人の聴衆がいる講演会場で、講演の最中に全員にその新聞を配り、「その熟語を探して下さい」と言っても、そう簡単には見つけることは出来ず、大概の人は眠り始めてしまうかも知れません。しかし「最初に見つけた人には50万円差し上げます」と言えば、恐らく5分以内に誰かが発見するでしょう。同じ素材−情報で、同じ目で、同じ脳を使っているにもかかわらず、結果が大きく違います。これは動機付けの問題ですが、普段の生活やビジネスの中で、このような動機付けを維持出来る源泉は好奇心ではないでしょうか。
私の尊敬するウォール・ストリートの巨人達はみな無尽蔵とも思える好奇心を持っています。好奇心を如何に高く維持するかの秘訣はまだ分からないのですが、好奇心が極めて重要であることは痛感しており、あの手この手で高い好奇心を維持していきたいといつも考えています。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。