最近、少なくとも東京の街には、或る変化が起きています。いつでも、どこでも、という訳ではないのですが、街なかの渋滞が徐々に増えてきました。かつてバブルの頃は街中が駐車場のようでした。今でもその頃に比べれば道はずっと空いていて、渋滞で移動に大幅に時間が掛かって困ってしまう、ということは滅多にないのですが、東京駅のすぐ脇にある当社のオフィスから見下ろす鍛冶橋通りも、明らかに交通量が増えてきています。街なかでも今迄は信号1回で右折出来た交差点で、2回とか3回並ばなくては曲がれないということが増えてきています。タクシーも、どんな時でも必ず空車が走っていたのに、実車ばかりが通り過ぎて暫く待たないと空車が来ないことがたまにあるようになってきました。恐らく物流が増えてきているのでしょう。流体力学のような話ですが、ほんのちょっと走っている車が増えたり、ほんのちょっと各車の移動距離が伸びたり、或いは荷物が重くてほんのちょっと発進が遅れるだけで、ネックとなる交差点などで流れが滞るようになります。ガラガラの時代に慣れてしまったので、混みやすい交差点を回避する術も忘れているのでしょう。従って回避行動を取り始めると、また渋滞は起こらなくなるかも知れません。しかしこれはやはり「兆し」ではないでしょうか?
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。