ドルが安い。今までは有事といえば「ドル買い」でしたが、今回はイラクとの戦争が近付く中でドルが安く推移しています。ドル安の原因は有事ではなく、アメリカの経済情勢から来ているのかも知れませんが、そうであれば経済が停滞している日本の円に対しても安いことが説明できません。有事に関しても、イラクや中東に地理的に遥かに近いユーロが高いことも不思議な現象です。数週間前、タイム誌のヨーロッパ版のウェブ・サイトで、世界の平和を脅かしているのは誰かというオンライン投票をしたのですが、1位はフセイン、ビン・ラディンをおさえてブッシュでした。もちろんこれはヨーロッパ人独特の皮肉がたっぷりと込められているでしょう。しかしブッシュ政権が、歴代のアメリカ政権との比較で、どこか一つ足りない何かがあることも事実でしょう。その、或る意味での信任の低さが、ドル安を招いているのではないでしょうか。何事にもつけ、クレディビリティーの重要さをまざまざと知る思いです。