フィアット・グループはフェラーリを年内に上場させるらしい。ちょっと前だととても考えられなかったことです。かつての名門とは言え、一時期はかなり品質も下がり、典型的なラテン型気まぐれ製品というイメージが強かったのですが、F1においてここ数年常勝するようになり、ガラッとイメージが変わりました。エンジンやブレーキなどのトラブルで他のメーカーが続々とリタイヤする中で、最後までトラブルもなく高いパフォーマンスを見せつけて勝ち続けると、流石にメーカー自体や市販車の品質イメージが上がります。それを受けて恐らく業績も伸び、上場するのでしょう。フェラーリをここまで変えたのは誰でしょうか?ミハエル・シューマッハでしょうか?シューミィのスポーツマン精神については賛否両論があります。しかし車体の情報を豊富に、かつ正確に感知し、しかもその情報を極めて正しくエンジニアにフィードバックして車体の完成度を高めていく能力に関しては異論の余地がないようです。何事に付けてもフィードバックが如何に重要であるかを思い知らされます。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。