金曜の晩にまたジャズを聴きに行きました。ブルー・ノートでのマイク・クラーク・バンドです。ハービー・ハンコックのリズムセクションを演ったりしていたドラマーで、同じくファンク・ベースの元祖ポール・ジャクソンや、ミンガスとも演っていたトランペッター、ジャック・ワルラスなど、なかなかの実力者揃いです。ギターはチャー。「気絶するほど悩ましい」や「闘牛士」の、あのチャーです。チャーは実はギターがとてもうまい、歌心もある、と以前から思っていましたが、今回は本当に感心しました。チャー以外の3人は、30年近く前から何度も何度も競演してきた仲で、演奏は70年代のマイルス・デイビスやギル・エバンス(ビルじゃありませんよ!)の考えていたようなジャズに、ブルースというかファンクを融合したようなもので、私はゴキゲンでした。チャーの絡みも最高でした。エフェクターを使わずに、弾き方だけで多彩な音を出して、ブルージーに、時には微妙なバランスではずしかけながら、堂々と3人と張り合い、そして溶け込んでいました。こんなにうまい(歌心のある)日本人のギタリストがいるんだ、とまで思ったのですが、唯一残念だったのは聴衆が昔のチャーのファンが多かったのか、今一興奮していなかったことです。ステージとフロアの関係は本当に微妙です。先日のベベウ・ジルベルト(アストラッドの娘)のステージは凡庸でしたがフロアは大満足でした。私だけがあまのじゃくなのでしょうか?
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
-
ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。