為替レートというのはつくづく妙なものだと思います。現代世界においては大概の国は他国との間の輸出入は膨大なので、為替レートが動くだけでその国の経済が大きく影響を受けます。例えば今日本の経済は全然ダメだとか言われていますが、仮に1ドルが180円とか200円とかになるとアメリカの車産業とかは大打撃を受けるでしょうし、世の中の風景が一転してしまいます。しかし為替レートはふわふわと、時には一部の投資家、或いは投機家の行動によってズルッと動いてしまう場合もあります。結局それは本来の経済のファンダメンタルズに鞘寄せされるだけだという見解もありますが、為替の位置自体がファンダメンタルズに大きな影響を与えるというのも事実です。政治によって誘導されることもあります。かつて1ドルは360円でしたが、ここまで円高になった背景は経済力の差による結果だったという言い方も出来ますし、経済力の差を為替レートの移動によって補正調整しようという意思だったという言い方も出来ます。ややこしいですね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。