今日からNYで世界経済フォーラム年次総会が開かれます(私も週末に参加します)。通称ダボス会議ですが、今年は例のテロの件があり、初めてスイスの山奥ダボスを出て敢えてマンハッタンで催されます。NYの復興を世界にアピールするといった趣向だと思いますが、ダボス会議の場としてはあまり宜しくないと思います。第一にダボスは山奥でネットワーク環境もさして良くなく、他にすることもないので議論に集中できますが、NYだといくらでもビジネスが出来ますから極めて落ち着きのない会議になりそうな気がします。第二に当然参加者に占めるアメリカ人の比率がとても高くなり、アメリカのビジネス・スクール的な議論の仕方に強く押される可能性が高く、言った者勝ちの雰囲気が強くなる気もします。そして何より、最も重要なテーマの一つであろうナイン・イレブン(昨年9月11日のテロ)に関して、「アメリカにもこういう悪い点もあった」というような論点がタブーになってしまう危険があるのではないでしょうか。それは開けた国際的な、多様な価値観の並存を探る国際会議のセット・アップとしては致命的な弱みがあるように私には感じられます。果たしてどうなるやら要注目です。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。