かつて私が外資系の投資銀行でデリバティブを担当していた頃、いわゆる仕組み債といったものを多く扱っていました。これは債券なのですが、元本や毎年払われる利子(クーポン)が、ある特定の株式の値段や指数、或いは金利の動きに応じて変化するというものです。
具体的には例えば償還時のある指数を計算式に代入して得られる値が償還元本額になるというようなものです。当時私の勤めていた会社では、クーポンが計算式に連動していて元本部分は基本的にパー(100%)のままのものを「プリンシパル・ギャランティード」(元本保証)と呼んでいました(そしてそのような呼び方が業界の標準でもありました)。私はその部署の責任者だったのですが、ある日この呼び方を「フィックスト・プリンシパル」(元本固定)と変更しました。元本部分はその債券の発行体の信用力によって流通市場で値段が変わり、あくまでも「保証」しているのは借り手が、自分自身で自らの返済を保証しているだけだからです。
あれからもう10年ぐらい経つでしょうか。