私は阿佐田哲也さんの本が大好きでよく読んだものです。勝負師達の人生絵図とか登場人物の人間模様もとても愉しいし、何より文章が上手なので読んでて飽きないのですが、賭け事にまつわる哲学というのも中々読み応えのあるものでした。例えば麻雀は究極的にはツキを4人の間で如何にコントロールするゲームなのだ、というような考えは、私には真実のように思え、中々含蓄に富んでいると思ったものです。博打小説ではないのですが、私は山田風太郎さんの小説も大好きです。兎に角娯楽小説として最高に愉快であり、かつ文章も美味この上ない訳ですが、この前読んだある小説の最後が、「新入。これでばくちア賽より相手を見ろって、御教訓のテニヲハがわかっただろう?」と〆られていて唸ってしまいました。これはトレーディングにも一脈通じるものがありますね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。