財務省が検討しているとされる個人向けの変動利付国債というのはどうもピンと来ません。昨年12月7日のつぶやきにも書いたように、個人による国の信用の金融商品保有が我が国においては低いという理由はあり得ないと思います。国債発行の消化懸念という理由は、銀行が買わなくなって誰も買わなくなった場合にもし増税によって台所事情を賄うということになると、それは本質論としては正しいのですが、当面の経済状況を考えると中々難しい等、単純にはいい悪いを言い切れない側面もあるでしょう。しかし「インフレ時に有利な金融資産として変動利付で」というのはどうも変な気がします。何故なら景気が良くなってインフレになるなら税収も増えるでしょうし、国債消化をそれほど気にする必要もないでしょう。だとすると日本売りによる為替の暴落(円安)に伴う輸入インフレを心配してくれているとすると、その原因はそもそも財政破綻にあり、それに対応するために更にインフレに応じて利子が高くなる借金をしようというのは蛸が足を食うみたいでどこかおかしくないでしょうか?
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。