不良債権問題が我が国の経済の低迷の元凶である。とにかくまず不良債権問題を治さなければいけない。不良債権の為に銀行がローンを出せなくなってしまっているのが一番の問題である。このような論調が毎日世間を圧倒しています。本当にそうでしょうか?確かに景気が悪くなってくる時にはその通りだったかも知れませんが、ここまで景気が悪くなり、大きなデフレが進行している現在においては少し違うのではないでしょうか?日々物価は下落していますから、お金を借りるよりも、少し待った方がモノは安く買えます。そのような状況下で、果たして日本中の企業が本当に借金をしたがっているのでしょうか?一方先行きの不安などから消費は冷え込んだままです(消費が冷えるからデフレになるとも言えます)。GDPの65%は個人消費です。消費を伸ばさなければ経済は復活しませんし、経済が元気良くならなければ不良債権は増える一方です。不良債権だけに目を奪われていないで、税制にしろ何にしろ消費を刺激する諸策にもっと注力すべきではないでしょうか?
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。