くどいかも知れませんが、我が国の年金の問題は深刻です。財務省は国のバランスシートを試算して公表していますが(9月に前年3月末の数字を発表するという呑気さではありますが)、資産の部は不動産や貸付金などで700兆円、負債の部は年金債務を除いた国債、郵便貯金、簡保、その他でちょうど同じ700兆円です。
年金債務は皆さんが国に対して支払った金額で計って150兆円、国が皆さんに支払うと約束してきた金額で計って800兆円あります。即ち資産が700兆円、負債が全部で1500兆円で、国は800兆円債務超過です。国の国民に対する債務は、個人が保有している国債を除いて郵便貯金、簡保、公的年金だけで合算しても1170兆円あります。それ以外の負債を全部棒引きにしてもらっても、国は国民に対して1170−700=470兆円の借金を返せないことになります。これは我が国のGDPの額に等しく、それは世界のGDPの20%程度でしょう。一体全体どうする気でしょうか?
ある日いきなり「やーめた」と言われてほったらかしにされるのでしょうか?あまりにも無責任な話です。しかしあとで恨んでみてもしょうがありません。マネックスではこの問題について真剣に考え、我々として、個人として、何ができるか、何をすべきかを提案・提供して行くために、本日「資産設計部」を新設しました。気の遠くなる話ですが、頑張ります。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。