AI主導の米国株上昇は5年目へ、歴史的な相場傾向からさらなる上昇も
・現行ブル相場の起点は2022年10月12日で、2026年10月で4周年、5年目に入った。期間騰落はS&P500が+118%、NASDAQ100が+186%となった。
・1942年以降で「4年以上続いたブル相場」は今回を含め9回あり、過去8回はいずれも4年経過後も上伸し、以降の上昇率の中央値は約+38%だった。
・過去の傾向を振り返ってみても、現在の上昇基調の局面がなお続く可能性がある
直近の2つの弱気要因(地政学とAI資金調達不安)を整理
・地政学リスクの観点では中東情勢(イラン関連)やロシア・ウクライナ情勢が不透明化し、原油高と金利上昇が重なった。不確実性の高まりが株式の重しになった。
・AI投資では巨額データセンター投資の継続可能性に疑義が生じ、借入や新株発行の比重が高まる段階へ移行。財務基盤の弱い企業は社債が投資不適格(ジャンク)となり、金利上昇と相まって株価の上値を抑えた。
アンソロピックIPOによる懸念は後退
・アンソロピックの大型IPOに対する懸念は、目論見書の公表を受けて後退。上半期売上高163億ドル、現金・短期投資1300億ドル超と示され、成長と資金余力が好感されてAI関連株に買いが入った。またスペースX[SPCX]がエヌビディア[NVDA]製GPU調達資金として400億ドルを借入れ、2027年下半期に納入予定と示し、資金の出し手は依然AI向けに前向きとの見方が広がった。
今後の焦点はAI資金調達の条件と需給、調整局面の想定と米中間選挙選挙アノマリー
・鍵は「巨額AI投資をどのような条件で資金調達するか」。メタ・プラットフォームズ[META]は議決権のないクラスC株を新設し、総額950億ドルの株式による調達構想(優先株・普通株の公募で350億ドル、クラスCの段階的売出で600億ドル)を示した。使途はAIインフラ、超知能AIエージェント「MUSE」、データセンター事業。これに対しエヌビディア、ブロードコム[AVGO]、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]の3社が、合計50億ドル分の購入検討を表明した。
・コアウィーブ[CRWV]のようなケースは、需要悪化ではなく資金繰り・財務構造が主因との見立て。エヌビディアのB200/H100などGPUのスポットレンタル価格は堅調で、リース満了後に2割超高い水準で再リース・売却される事例もある。GPUの収益力・資産価値が保たれるなら、現行のディストレス(信用不安を強く織り込んだ)水準は悲観過多の可能性がある。
・AIを原動力にした上昇基調の中でも調整は繰り返す。1990年代後半のドットコムブーム期も10~30%級の調整を挟みつつ上伸した。直近でもディープシークショック、トランプ関税、夏場のレバレッジ解消などの揺り戻しがあった。季節性と中間選挙通過のアノマリー、2027年(大統領任期3年目)の株高傾向と業績の堅調さを踏まえると基調は前向きだが、最大のリスクはトランプ米大統領の政策運営の不確実性にある。
