もしここに特別なコインがあり、表と裏の出る確率が違うとします。表が出れば勝ちとして、表の出る確率が50%よりも低いのにそれでも「勝とう」とする時は、大きな掛け金を賭けて一発勝負をするでしょう。逆に表の出る確率が50%よりも高い場合には、小さな掛け金でなるべく多くの回数コインを投げる方が得です。
経営も似たところがあるのではないでしょうか。50%よりも低い確率で経営判断が出来ない場合は、そもそも経営すべきではないでしょう。しかし50%よりも高い確率で経営判断できる場合、これはちゃんとした経営者であれば本来当然のことなのですが、その場合は何度でも迅速に判断できる方が得です。経営の独立性が重要である、というのは正にこの意味においてだと思っています。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。