先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数、香港ハンセン指数は揃って続伸となりました。シティなどの海外の金融機関が中国本土株の投資判断を引き下げていることから、先週の中国本土株は軟調なスタートとなりました。しかし、1月13日(火)に発表された12月の貿易統計が予想を上回ったことが株価は下支えしました。12月の中国の輸出(前年比)は9.7%増、12月の中国の輸入(前年比)は-2.4%となり、共に市場平均予想と前月実績を上回っています。
さらに15日(木)に発表された12月の中国の新規人民元建て融資額が6973億元となり、市場平均予想の8800億元や11月実績の8527億元は下回ったものの、12月の実績としては2009年以降で最高となったことが評価され、銀行株や保険株が買われ、株価は週末にかけて上昇幅を拡大させました。ただ、今週以降については軟調な推移が予想されるところです。というのも、16日(金)の大引け後、中国証券監督管理委員会(CSRC)が証券会社の信用取引業務における立ち入り検査の結果、中信証券、海通証券、国泰君安証券に違法行為があり、これらの証券会社について3ヶ月間、信用取引の新規口座開設を禁止したと発表したためです。また、その他の処置や警告を受けた証券会社もあります。これは中国当局がここのところの中国本土株の急騰を抑えたい意向があることを示唆するものと思われます。
香港株も中国本土株と同じような動きになりましたが、こちらは週末にスイスフランの上限撤廃を受けた為替市場の混乱からの世界的なリスクオフ志向の影響を受け、週末に株価は下落しています。個別では米国の半導体大手企業インテルの思わしくない業績見通しを受けて、テンセント(00700)などのハイテク株が大きく調整しています。今週は1月20日(火)に12月の中国鉱工業生産(前年比)、12月の中国小売売上高(前年比)、12月の中国固定資産投資(年初来、前年比)、中国の第4四半期のGDP、1月23日(金)に1月のHSBC中国景況感指数(速報値) が発表される予定です。
コラム執筆:戸松信博