ユーロが下落基調となっています。2026年9月以降、急激に上昇したフランスの金利がきっかけです。

2026年1月~2月頃のフランス長期金利は、おおむね3.2~3.5%で推移していましたが、10月1日に一時5%の大台を突破しました。これは2002年7月以来、約24年ぶりの高い水準です。8月中旬以降、フランスの代表的な株価指数であるCAC40も下落基調を強めており、フランスはトリプル安の様相となっています。

警戒されるフランスの金利上昇

フランスの金利上昇を加速させたのは、9月19日にフランス財務省が公表した政府債務見通しです。政府債務残高の対GDP比が2026年に119.3%、2027年にはさらに121.7%へ上昇し、過去最高水準を更新する見通しであることが示されたのです。財政への懸念がフランス国債の売りに火をつけました。

10月1日の閣議を経て示された2027年度予算案には、膨らむ財政赤字を圧縮させるために、無策の場合6.5%に達する赤字を5%に抑え、2029年に3%へ戻す道筋を維持する内容でした。総額540億ユーロ(約8.7兆円)規模の財政改善を盛り込んだ「非常に厳しい緊縮予算」です。

しかし、これが市場に評価されることはありませんでした。これだけの緊縮財政でも借金が減るわけではなく、あくまで「借金の増加ペース」をわずかに遅らせる程度です。EUの基準である3.0%には程遠く、フランスの公的債務残高は2026年半ばの119%から、2027年には121.7%へと、むしろ拡大する見通しです。

問題は政治にもあります。ルコルニュ仏首相の少数与党政権は下院(国民議会)で過半数を持っていません。極右(国民連合)や急進左派は、この緊縮策(年金抑制や公務員給与据え置きなど)に猛反発しています。予算を強制通過させようとすれば内閣不信任案が提出され、過去の政権と同様に、秋に政府が崩壊するリスクがあると警戒されています。

フランス国債の売り、日本の機関投資家も動いた

財政への警戒と政治リスクがフランスの金利上昇を加速させる中、日本の機関投資家もフランス国債をすべて売却しドイツ国債と日本の短期債に振り向けた、という報道も出てきました。フランスからドイツへのシフトなら同じユーロですので為替市場は動きませんが、これが日本国債となればユーロ売り・円買いの材料となりますね。

足元では米ドルの金利上昇も警戒事項ですが、為替市場では米ドルは素直に米ドルの金利上昇につれ高となっています。米経済は強いという評価もあると思われますが、ユーロ/米ドルでユーロが売られているのは、米ドル高の影響だけではありません。ユーロ/ポンド、ユーロ/スイスフラン、そしてユーロ/円など他通貨ペアでみても、ユーロは軒並み下落基調にあります。

市場のテーマは移り替わりやすいものです。少し前までは日本の積極財政が日本国債売りにつながり、日本の金利上昇と円安が警戒事項とされてきましたが、足元で円への関心は薄れています。ここからは11月の米中間選挙も市場の関心を集めると思いますが、同時にフランス財政への警戒、フランスの金利動向、そしてユーロの先行きに市場は注目しています。