これまでの基本は「介入の円買いvs投機の円売り」

2022年以降、日本の通貨当局による円安阻止の為替介入局面は、2022年9~10月、2024年の4~5月と7月、そして2026年は4~5月と7~8月だった。これらの局面では、米ドル売り・円買い介入に対し、投機筋のポジションは常に大幅な米ドル買い・円売りとなっていた(図表1参照)。つまりこれまでは、「介入の円買いvs投機の円売り」という構図が基本となっていたわけだ。

【図表1】米ドル/円とCFTC統計の投機筋の円ポジション(2022年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

ところが9月以降、投機筋は一時大幅な米ドル売り・円買いに転換した。円安の是正を目指す通貨当局からすると、それまでの「敵」が「味方」に転じた形だった。ではなぜ投機筋は「敵」から「味方」に転じたのか。そして当局は、投機筋を「味方」であり続けさせることができるだろうか。

介入局面に共通する要因:120日MAより円安

これまでの円安阻止介入局面で共通した要因の1つに、米ドル/円と120日MA(移動平均線)の関係があった。具体的には、介入局面における米ドル/円は基本的に120日MAより米ドル高・円安水準にあった(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円と120日MA(2022年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

120日MAは、投機筋の代表格であるヘッジFの円売りと円買いの分岐点とみられている。これまでの介入局面では、米ドル/円が120日MAより円安水準にあったことでヘッジFは円売りを行い、結果として円買い介入にとっての「敵」になったと考えると辻褄は合いそうだ。

一方、9月以降米ドル/円は120日MAより一時大幅な米ドル安・円高となった。こうしたことから、ヘッジFは円売りから円買いに転じ、さらに円買いを拡大したということではないか。

ヘッジFが円売りに転じ、円安阻止介入にとって再び「敵」に回ることをこの先も阻止するためには、足下で159円台で推移している120日MAより米ドル高・円安になることを防げるかが目安になるのではないか。

ヘッジFが再び「敵」に回ることを防げるか

152円から米ドル高・円安方向に戻る動きの中で、日本の通貨当局は158円台で介入の前段階の「レートチェック」を行ったとされた。そしてその水準を超えて159円台に乗せたところで、日米首脳会談でトランプ米大統領が円安を懸念する発言を行っていたことが明らかにされ、円高に転じた。

このような動きは、まさに120日MAより米ドル高・円安になることの阻止を目的にしているようにみえる。そうであるなら、その真の狙いはヘッジFが円売りに転じ、円安阻止を目指す当局にとって再び「敵」に変わるのを防ぐことなのではないか。