先週の中国株ですが、上海総合指数は続伸、深セン総合指数、創業板指数は反落、香港ハンセン指数は続落となりました。上海総合指数は4年ぶりの高値となっています。12月16日(火)に12月のHSBC中国製造業PMI(速報値)が49.5と発表されました。市場平均予想の49.8、11月実績の50.0を共に下回り中国経済の弱さを改めて示すことになったものの、逆に金融緩和期待が拡大。特に預金準備率の引き下げが期待されるとして、銀行株が大きく上昇しました。11月の中国70都市の新築住宅価格が前月比で0.6%下落し、3ヶ月連続の前月比マイナスとなったことから、不動産株を中心に利食い売りが入り12月18日(木)は反落となったものの、中国が来年に700万戸の低所得者向け住宅の建設を開始するとの報道から建設関連株が急騰して12月19日(金)は急反発となり、上海総合指数は4年ぶりの高値で引けています。ただ、中小型株は資金シフトの影響から逆に売られる形となり、深セン総合指数と創業板指数は反落となっています。

一方で香港株は週後半に反発したものの軟調な動きが続いています。まず、原油価格急落に伴う世界的なリスクオフ姿勢の高まりによって新興国から資金が引き揚げられている影響を受けています(中国本土市場はもともと外資参入が規制されており、あまり影響を受けていない)。これに加えて米国の金利上昇への懸念があります。香港ドルは米ドルにペッグしているため、今後、米国の金利が上昇すれば、香港の金利も上昇します。香港地場の大手企業は不動産企業が多く、それらの企業は金利に敏感です。金利が上昇すると、たとえば不動産ローンなどが組みにくくなり不動産市況にとってマイナスになるためです。このように香港株をとりまく情勢はあまり好ましいものではありません。しかしながら、中国本土市場がこのまま上昇を続ければ、特に香港に上場している中国企業には割安感が出てくるため、現在の香港株安はチャンスと捉えることも出来ると思います。

香港株の個別を見ると、先週は金沙中国(01928)などのマカオのカジノ株が下落して相場の足をひっぱりました。2014年は中国政府が推し進める反汚職運動がマカオの賭博収入を直撃し、賭博収入の伸び率はスローダウン。2014年通期では前年比でマイナス成長となる懸念が高まっています。これに加え、先週は中国公安部がマカオのジャンケット(有力賭博客の仲介業)を取り締り始めたとの報道がありました。マカオの中国返還15周年の記念式典のために、マカオに訪問した習近平国家主席もマカオ経済のカジノ依存脱却を促し、経済の多角化を進めるべきだとコメントしています。

コラム執筆:戸松信博