先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数、香港ハンセン指数揃って続伸となりました。中でも上海総合指数は非常に強い上昇となり、2011年以来の2900ポイントを回復しました。株価が上昇している背景ですが、まず、中国の追加金融緩和への期待感があります。中国人民銀行(中央銀行)は11月21日(金)に2012年7月以来となる利下げを発表しましたが、2015年には更なる利下げが期待されています。その一方で、欧州や日本で金融緩和状態が続いている中で、先週はルクセンブルク当局が同国籍のファンドに対し滬港通を通じた上海株への投資を認可したとの報道があり、中国への資金流入期待が膨らみました。そのため、中国工商銀行(上海A株上場、601398)や人寿保険(上海A株上場、601628)などの大型株が大きく買われて、相場を牽引しました。また、売買代金が大きく増えていることから、証券株にも人気が集まり、中信証券(上海A株上場600030)などの証券株も力強い上昇となっています。
先週発表された中国の経済指標ですが、12月1日(月)に11月のHSBC中国製造業景況感指数(確報値)が50.0、11月の中国公式製造業景況感指数が50.3、12月3日(水)に11月のHSBC中国非製造業景況感指数が53.0、11月の中国公式非製造業景況感指数が53.9と発表されました。いずれもほぼ想定通りだったものの、強い数字とはいえず、中国の更なる金融緩和期待を拡大させる結果となりました。
一方で、香港株も続伸となっているのですが、こちらは小幅な上昇に留まっています。ただし、売買代金は大きく膨らんでおり、株価の上昇幅は小さいものの、活況感はあります。香港株が本土よりも軟調な理由として、滬港通が香港市場への資金流入にはそれほど貢献していないこと、米国の金利上昇懸念が香港経済にはマイナスであること、香港デモが続いていることなどがあります。しかし、中国本土株が大きく上昇しているため、両市場に同時上場している銘柄は中国本土株に引っ張られる状態で上昇しており、香港ハンセン指数に対して、ハンセンH株指数は大きく上昇しています。今週は12月8日(月)に11月の中国の輸出と輸入、12月10日(水)に11月の中国の消費者物価指数、12月12日(金)に11月の中国の小売売上高、鉱工業生産、1-11月の固定資産投資がそれぞれ発表となります。
コラム執筆:戸松信博