週末に佐々木かをりさんの主宰する国際女性ビジネス会議で講演を致しました。上級者のための投資口座という題目で藤沢久美さんと一緒に行なったのですが、「何をもって上級者と言うか?」という議論をした後に、「投資とは何か?」という話になりました。財テク的な話に話題が向いていたのですが、ある高齢の紳士が「話を聞いていると本当にこの国にはキャピタリズムがないと痛感した。投資はテクニックではなく、経済に直接参加して行くことである。競馬とか、宝くじと比較されるようなものではない。正直言って今日は本当に残念な思いである。」と仰しゃられました。
「上級者のための・・」ということで、わざと根本論よりも若干テクニカルな方に話を振っていたせいもありますが、さは言いながらこの方の言には目が覚める思いがしました。老紳士の仰しゃられたことは開業当初から私も何度も何度も言って来たことですが、それでもたまに流されて迎合的なことを言ってしまいます。トレーディングと投資は違いますが、投資の中にも「財テク的な投資」と「真の意味の投資」があります。真の投資、株式資本主義の意味がきちんと認識されなければ、我が国の株式市場の根本的な回復および成長は約束されないのではないでしょうか。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。