「年内の米利上げ」予想の金利上昇は正しいのか
米国の金融政策を織り込む米2年債利回りは最近にかけて4%を大きく上回って上昇した。米国の政策金利の誘導目標上限の3.75%を0.25%以上上回ったこの動きは、金利市場がFRB(米連邦準備制度理事会)の次の一手として利上げを織り込んだという意味になる(図表1参照)。では、それは正しいのか。
米2年債利回りが大きく上昇するようになったきっかけは、イラン戦争を受けた原油価格の急騰だった。ただ、この1ヶ月ほどは原油価格の下落の割に米金利の高止まりが続き、両者のかい離が目立ってきた(図表2参照)。それは原油価格の下落にもかかわらず、インフレ再燃への懸念からFRBは利上げを余儀なくされるということだろうか。
米利上げ正当化には失業率の4.1%への低下が必要
米国の利下げ予想が利上げ予想に変わった一因として、米労働市場の急悪化の懸念が後退したことがあっただろう。ただし、それは利下げ予想の後退にとどまらず、利上げが必要になるほどのことなのか。
米国の政策金利であるFFレートと米失業率の間には一定の相関関係がある。この関係は、失業率から失業率の過去10年平均(10年MA=移動平均)を引いた「修正失業率」を使うとより強くなる。
その失業率は5月が4.3%だったが、6月に4.2%へ一段と改善した場合でも、修正失業率が示唆するFFレートの4%以上への引き上げの可能性は微妙な状況にとどまりそうだ(図表3参照)。
修正失業率が、FFレートの4%以上への引き上げの必要性を示唆するのは、6月失業率が4.1%まで大きく改善した場合だ(図表4参照)。はたして、金利市場は米失業率がこの先4.1%まで改善することを想定しているのだろうか。そこまでの失業率の大幅な改善を見込んでいないなら、利上げ予想は先走り過ぎの可能性があるのではないか。
米利上げ予想修正なら米ドル/円にも影響か
日本のゴールデンウィーク中の為替介入で一時155円まで円高になったものの、その後160円まで円安に戻したのは、日米金利差(米ドル優位・円劣位)拡大に連れた面が大きく、その金利差拡大をもたらした主因は米利上げ予想に伴う米金利上昇だった(図表5参照)。
その米利上げ予想は、果たして「先走り過ぎ」だったのか。もしも米利上げ予想が「先走り過ぎ」であり、その修正で米金利が低下するなら、それは日米金利差を通じて米ドル/円においても円安修正要因になる可能性があるだろう。
