先週の中国株ですが上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は続落、香港ハンセン指数は反発となりました。中国本土の株式市場ですが、10月20日(月)は中国人民銀行(中央銀行)が、新たな景気刺激策として、銀行システムに2000億元を注入する計画があるとの報道(そして実際のところ、翌日に2500億~3000億元を供給したことが報道されました)や、この日に始まった第18期中央委員会第4回全体会議(四中全会)で新たな政策が出る事への期待感から高く始まりました。しかし、10月21日(火)に発表された中国の1-9月の不動産販売額が前年同期比8.9%減となり、9月末の在庫額も8月末から増加したことを受け、中国経済の先行きに対する懸念が増大。さらに同日発表された経済指標について、9月の中国小売売上高が11.6%増<8月実績11.9%増、市場平均予想11.7%増>、9月の中国鉱工業生産(前年比)が8.0%増<8月実績6.9%増、市場平均予想7.5%増>、第3四半期のGDP成長率7.3%増<第2四半期実績7.5%増、市場平均予想7.2%増>と数字自体は悪くなかったものの、比較的無難な数字となってしまったことが逆に景気刺激策への期待が後退し、株価下落につながりました。

その後も「滬港通」(上海と香港間の株式相互取引)の具体的な開始日が未だに発表されないことや、原油をはじめ、商品価格が全般的に下落していることから中国石油などの資源株が下落したことから週末まで軟調な相場展開が続きました。ちなみに10月23日(木)に発表された10月のHSBC中国製造業景況感指数(速報値)は50.4と9月実績の50.2、市場平均予想の50.2を共に上回ったのですが、それほどには材料視されませんでした。結局のところ、第18期中央委員会第4回全体会議(四中全会)<10月23日(木)に閉幕>で新たな政策が発表されなかったことが、刺激策発表期待を後退させ、株価下落につながった格好です。もっとも、7月末以降、中国本土株は大きく上昇してきましたので、調整が必要だったところでもあります。上海総合指数はちょうど50日移動平均線まで調整したところですが、ここできちんと下げ止まれるか、注目されるところです。

一方、香港市場も同じような株価推移となりましたが、こちらは米国株が急激に反発した好影響を受けて、週間では若干ではありますが、上昇しています。今後の経済指標の発表スケジュールですが、10月28日(火)に9月の中国工業セクターの企業利益(前年同月比)が、11月1日(土)に10月の中国公式製造業景況感指数が、11月3日(月)に10月の中国公式非製造業景況感指数と10月のHSBC中国製造業景況感指数(確報値)がそれぞれ発表となります。

コラム執筆:戸松信博