東京株式市場で日経平均株価が史上初めてとなる7万円を突破した。要因は大きく分けて、(1)米とイランの戦闘終結による日本経済への好影響(2)半導体、AI企業を軸とした期初からの好決算予想の2点となる。
中東情勢の不透明要因が大きく後退
米・イランの戦闘によるホルムズ海峡の封鎖は、原油価格の高騰を招き、日本の物価高をさらに加速させる懸念があった。ナフサ不足なども浮上した。自動車や化学などのセクターでは業績悪化を警戒されている。この不透明要因が大きく後退し、ホルムズ海峡が正常化の機運が高まっている。ガソリン価格は補助金で抑えていたこともあり、原油価格の下落は財政懸念も低下する。
日経平均、7万4000円までの上昇余地の可能性
自社株買いや増配に進む企業も多く、業績面からは買い安心感
一方、中東情勢の悪化にもかかわらず、2026年4月下旬から発表された2027年3月期の企業業績予想は半導体やAI関連企業を中心に好調な見通しが示された。
日経平均株価の1株利益は決算発表直前の4月23日には2,890円だったが、決算発表が一巡した5月29日には3,699円まで上昇した。4月23日に20倍だったPERは株価上昇にもかかわらず5月末に17倍台まで低下している単純に今期の1株利益は前期比28%の伸びとなる。日経平均採用の半導体やデータセンター関連がけん引役となっている姿が浮かび上がる。自社株買いや増配に進む企業も多く、業績面からは買い安心感がある。
大手調査機関によれば全産業の2027年3月期の純利益は前期比5%増程度。NT倍率(日経平均÷TOPIX)の高さが指摘されるものの、業績面からはハイテク株の多い日経平均採用銘柄の業績好調さが背景となっている面があり、指数の歪みとみるのは正しくないともいえる。
次の注目ポイントとは
日経平均株価がPER20倍まで評価されれば、7万4000円までの上昇余地がある計算だ。中東リスクの後退やそれに伴う原油価格の下落は、ハイテク以外の企業の業績の後押し要因になる可能性が大きい。第1四半期の決算発表は7月下旬から本格化するが、上値を追うためには、さらに1株利益が拡大するかが注目ポイントだ。
株価上昇の推進力は、外国人投資家の買い
需給面では外国人投資家の買いがけん引役となっている。外国人投資家は2026年に入って5月末までで10兆4713億円の買い越しとなり、2025年1年間の5兆4070億円の買い越しを大きく上回っている。東証の1日あたり売買代金は10兆円乗せが常態化し、活況が続く。日本の経済成長に加え、半導体業界の将来性が評価されているとみられ、株価上昇の推進力となっている。
一方、日経平均株価と200日移動平均線とのかい離率が6月3日に31%に接達するなど、過熱の目安となる20%を大きく上回り、短期的にはスピード違反の様相を呈している。短期は値幅を伴った調整局面も念頭に置く必要もありそうだ。
今後の注目銘柄をリストアップ。半導体やAI、データセンター関連ほか
物色面では引き続き、半導体やAI、データセンター関連が軸となりそうだ。日本では半導体メモリのキオクシアホールディングス(285A)の時価総額がトヨタ自動車を抜いて首位となり、ハイテク株に投資するソフトバンクグループ(9984)も一時トップになる場面があった。
半導体の製造装置やパッケージ、データセンター向け需要増の積層セラミックコンデンサ関連
米国や韓国、台湾でも半導体メモリ、AIデータセンター関連の株価急騰が相次ぎ、地殻変動ともいえる状況だ。生成AIのチャットGPTが登場したのが2022年秋。そこから4年足らずで技術革新の波はさらに大きくなっている感がある。AIデータセンターの世界的な需要増などの流れは、一過性にとどまらない可能性が高い。
製造装置の東京エレクトロン(8035)、ディスコ(6146)、SCREENホールディングス(7735)、アドバンテスト(6857)。パッケージ関連のイビデン(4062)、レゾナック・ホールディングス(4004)、住友ベークライト(4203)なども注目したい。データセンター向けに需要が増加している積層セラミックコンデンサ(MLCC)関連では村田製作所(6981)、太陽誘電(6976)、TDK(6762)、京セラ(6971)などが挙げられる。MLCC原料のチタン酸バリウムを手がける堺化学工業(4078)、石原産業(4028)への関心も高い。
フィジカルAI、バリュー関連銘柄、コンテンツや防衛関連銘柄など
生成AIとロボットなどが連携するフィジカルAIでは安川電機(6506)、ファナック(6954)、ハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)、ナブテスコ(6268)など。
バリュー系では三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、みずほフィナンシャルグループ(8411)のメガバンク3行がいずれも今期増益予想に加え、増配、自社株買いを発表するなど、株主還元姿勢で健闘も目立つ。物色の圏外ながら、PBR(株価純資産倍率)の低い日本製鉄(5401)、王子ホールディングス(3861)、三井化学(4183)、ホンダ(7267)などは中期スタンスで臨みたいところ。
また、景気の影響を受けにくいコンテンツ関連で、半導体価格の上昇が警戒されている任天堂(7974)、ソニーグループ(6758)などの押し目には妙味があるだろう。東宝(9602)、サンリオ(8136)、コナミグループ(9766)などもチェックしておきたい。防衛関連の三菱重工業(7011)、川崎重工業(7012)、IHI(7013)などは反転の機をうかがっている。
