先週の中国株ですが上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数、香港ハンセン指数は揃って反落となりました。まず、10月13日(月)に発表された9月の中国輸出は15.3%増となり、8月実績の9.4%増や市場平均予想の12.0%増を大きく上回りました。また、9月の中国輸入も7.0%増と8月実績の2.4%減や市場平均予想の2.0%減を大幅に上回っています。しかし、世界的な株安もあり、好調な輸出がこのまま継続するのかという懸念が台頭し、中国本土の株価指数は軟調に先週をスタート。しかし、10月14日(火)に中国中央銀行が公開市場操作で14日物レポ金利を3.5%から3.4%に引き下げたこと、15日(水)に発表された9月の中国の消費者物価指数が1.6%増と8月実績の2.0%増や市場平均予想であった1.7%増を下回ったこと、「滬港通」(上海と香港間の株式相互取引)が10月27日(月)に開始されるとの報道(ただしその後、今月には開始できないとの報道も出ています)などから15日(水)には一時的に反発しました。

ところが10月16日(木)に発表された9月の中国の新規人民元建て融資額が8572億元と8月実績の7025億元、市場平均予想の7500億元を上回る数字となったにもかかわらず、10月16日(木)には早くも反落。さらに世界的な株安の影響から10月17日(金)は大きく下がって引けています。ここまでに書いてきたように、良好な中国の経済指標には反応しなくなり、逆に世界的な株安の影響から、中国経済の先行きへの懸念が台頭して株価が下げています。先月までは悪い経済指標に対して景気刺激策が期待される形での株価上昇が続いていたので、相場の状況がやや変化してきた感じです。しかし、先進国の株式市場が急激な下落に見舞われているのに対し、中国本土の株価指数は軽微な下落程度で済んでいます。これは「滬港通」への期待感や10月20日から開催予定の第18期中央委員会第4回全体会議(四中全会)で新たな政策が出る事への期待感があるのだと思います。

香港株も中国本土株と同じような株価推移となりましたが、こちらは10月17日(金)に米国が量的緩和を継続するのではないかとの期待が高まる形で反発となって週を終えています(香港ハンセン指数はそれでも週間では小幅安となっています)。今週は10月21日(火)に9月の中国小売売上高、9月の中国鉱工業生産(前年比)、第3四半期のGDP成長率、10月23日(木)に10月のHSBC中国製造業景況感指数(速報値)が発表されるので、それぞれ注目です。加えて「滬港通」がいつからスタートになるのかがそろそろ明らかになってくると思われますので併せて注目です。

コラム執筆:戸松信博

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