総資産成長アノマリーの定義と検証結果
・総資産成長率=(直近期末の総資産-前年期末の総資産)÷前年期末の総資産で算出すると、資産の伸びが小さい(あるいは減少)企業の株価パフォーマンスが相対的に高く、資産の伸びが大きい企業は相対的に低いという傾向が出る。
・TOPIX採用銘柄を総資産成長率でソートし、等金額で上位20%と下位20%のポートフォリオを作ると、下位20%は累積超過リターンが上昇傾向、上位20%は累積超過リターンがマイナス傾向となった。
・指標は単純で、今回の2026年3月期決算と2025年3月期の総資産を用意すれば個人投資家でも算出可能である。
アノマリーが生じるメカニズム
・総資産の増加は、内部留保や負債調達を原資とした設備投資の拡大を反映するが、投下資本の効率(ROAやROIC)が維持・向上しない場合が多く、効率悪化が株価アンダーパフォームにつながりやすい。
・配当や自社株買いを積極化する企業は一般に総資産の伸びが抑制的で、資産効率を保ちやすい。一方で、負債による資産拡大が非効率な企業も存在し、株主価値の希薄化につながる。
・重要なのは株主還元の多寡ではなく、負債を含む総資産に対する収益性の維持・改善である。資産拡大と効率低下の同時発生がリスクとなる。
実務での見極め方(避けたい銘柄の条件)
・条件1:直近本決算(2026年3月期)の総資産成長率が4.8%以上。おおむね資産成長が大きい上位20%に相当し、まず注意銘柄候補とみなす。
・条件2:予想ROA(2027年3月期)が直近実績ROA(2026年3月期)を下回る。資産を増やしつつ収益性が悪化する組み合わせは、株価面で不利になりやすい。
・投資候補から上記2条件をともに満たす銘柄を、一旦外す運用が考えられる。逆に、資産成長が大きくてもROAやROICを維持・改善できる企業は例外と位置付けるとよいだろう。
