予想を上回るスピードで6万円を突破した日経平均株価、「株高を実感できない」投資家の声も

4月27日に日経平均株価が終値で6万円を超えました。日経平均が5万円を超えたのは2025年10月27日です。実に半年で1万円の上昇ということで、すごい勢いに見えます。2025年の5万円突破時にも2026年には6万円という声はあがっていたものの、「年内には」という声も多く、4月に達成するのは多くの人の想像よりも早い動きのように思われます。

また、2月27日には終値で58,850円と、6万円に近づいていた日経平均株価は、多くの方の予想に入ってなかったであろう2月28日の米国等によるイランへの攻撃やその後の原油高やホルムズ海峡を巡る中東情勢が不透明だったこともあり、3月末には終値で51,063円、安値だと50,558円と、むしろ5万円割れぎりぎりに迫っていました。そこから、1ヶ月も経ってないうちに高値を奪還し、6万円を突破したというわけで4月の株価上昇はまさに「強い」の一語だったと言ってよいと思います。

一方、投資家の声を聞いていると、「日経平均株価は上がっているが、株価は上がっていない」というような声が多いことも事実です。これは保有株の株価が上がらず、株高を感じられないということでしょう。実際、終値で6万円を超えた4月27日は日経平均株価は800円を超える上昇だったのですが、東証プライム市場では値上がりが684銘柄、値下がりが838銘柄と、値下がり銘柄のほうがむしろ多かったのです。日経平均株価の動きと、自身の保有株の動きに差があると感じる方が多いのも分かるように思います。

こうした日経平均株価と全体の市場の違いを端的に表しているのが、日経平均株価と並ぶ日本の代表的な株価指数であるTOPIXです。TOPIXは2月末に終値ベースの最高値を更新しており、その指数は3,938.68で、そのときは日経平均は58,850円でした。そのTOPIXは4月27日の終値で3,735.28と、2月末に比べ5%近く低い水準です。3月末時点では3,497.86と日経平均同様に概ね直近の安値であり、この時期の値動きは日経平均株価と同様だったと言えるのですが、特に4月に両者の株価の乖離が進んでいったことになります。

急上昇するNT倍率、過去10年でも異例の動き

日経平均株価をTOPIXで割ったものをNT倍率といいます。倍率が大きいほど、TOPIXに対して、日経平均株価が上がっているということになります。日経平均株価が6万円を突破した4月27日終値だと60537/3735=16.2倍です。2月末は、58850/3938=14.9倍なので、NT倍率が大きくなっていることが分かります。過去10年間の年末時点でのNT倍率を見てみましょう。

【図表1】2016年から2025年の年末時点でのNT倍率
出所:マネックス証券

こうして見ると、2016年から2020年にかけてNT倍率は上がっていく傾向があったものの、それから5年、2025年にかけては大きく上がらない動きが続いていることが分かります。上記は年末時点の数字のみですが、年内の動きも概ねそういう形で、この10年だと前半5年は上がっていく傾向の一方で、後半5年は大きくは動かない傾向でした。

さて、2019年から2020年は13.7倍から15.2倍と、1.5上がっていますが、各年の動きはそこまで大きくはないことが分かると思います。2月末から4月27日の約2ヶ月で1.3上がっているというのがかなり急な動きであるということが分かるのではないでしょうか。直近の16.2倍は、過去最高水準になっています。

日経平均を牽引する「成長株」と、TOPIXを支える「日本代表銘柄」

このような事象となるのは両指数の算出方法に差があるためです。TOPIXは基本的に東証上場銘柄の時価総額をベースに計算されています。そのため、指数への影響は時価総額順となり、トヨタ自動車(7203)の影響が最大となります。日経平均株価も株価=時価総額で計算されるという点では同様ではあるものの、各銘柄の株価によってウエイトが異なります。簡単に言えば、各銘柄の株価が高くなっているかを見ており、株価水準が高い銘柄の影響が大きくなります。たとえば、3月末時点だとトヨタ自動車の影響は225銘柄中19位です。具体的にどのような銘柄が指数ウエイト上位構成銘柄になっているかを見てみましょう。

まずは、TOPIXです。TOPIXは算出元のJPX総研が2月末時点のウエイトを発表しており、上位10銘柄は以下のようになります。

【図表2】TOPIXの指数ウエイト上位10銘柄とウエイト(2026年2月末時点)
出所:JPX総研資料を元にマネックス証券作成

次に日経平均株価です。日経平均株価は算出元の日本経済新聞社が3月末時点のウエイトを発表しています。同じように上位10銘柄を見てみましょう。

【図表3】日経平均株価の指数ウエイト上位10銘柄とウエイト(2026年3月末時点)
出所:日本経済新聞社資料を基にマネックス証券作成

このように、TOPIXがいかにも日本を代表する会社が上位に並んでいるのに対し、日経平均株価は成長株と言えそうな銘柄が上位に並んでいることが分かります。両者で10銘柄に入っているのは、東京エレクトロン(8035)のみです。また、上位10銘柄が全体に占めるウエイトの違いも注目できそうです。

日経平均株価は上位10銘柄で値動きのほぼ半分が説明できます。日経平均株価が6万円を突破した4月27日には上記の10銘柄のうち、アドバンテスト(6857)、ファナック(6954)がストップ高となっており、それらの影響も大きくなっていました(アドバンテストは終値ではストップ高にはなりませんでした)。

逆に、TOPIXの上位銘柄、つまり日本を代表するような会社(もちろん日経平均株価の上位銘柄も日本を代表するような銘柄ではあるものの、特に、という意味)は直近ではあまり上がっていません。トヨタ自動車は2026年4月は下落しており、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)も日立製作所(6501)も2月末の方が高い水準です。つまり、4月は成長度合いの強い株が買われるような状況だったということです。

AI関連銘柄への資金集中にも注目、今後の日経平均とTOPIXの動きはどうなる?

こういった環境下では、特にアクティビストが投資を行うような銘柄も、パフォーマンスは悪い傾向になります。本連載で取り上げているようなアクティビストが関心を持つ会社は、そもそも株価水準が本来より低い会社であり、TOPIXの上位に来る銘柄とは異なる銘柄群と言えそうです。直近で大きく上昇しているような銘柄はAIに関わる銘柄も多く、まさに上記の日経平均株価のウエイト上位銘柄がそうした銘柄です。

一方、AI関連銘柄が買われているのは2025年からで、日経平均株価とTOPIXの実際の値動きを見ても2025年秋以降、日経平均がリードしていることが分かります。一方で、一定以上の乖離があるとTOPIXが巻き返していることも事実です。実際、2025年の年末あたりからはかなりTOPIXが巻き返していたことが分かり、この4月の両者の動きは非常に極端にも見えます。

【図表4】過去1年の日経平均株価(青)とTOPIX(赤)
出所:マネックス証券

図表1で示したように、ここ10年で見てもNT倍率の拡大傾向は続いており、ここ1ヶ月の急拡大も一時的なものなのかどうかは分かりません。日経平均が下げる形で調整される可能性もあります。しかし、足元での日経平均株価の上昇に対する違和感は特別なものではなく、実際に全体として、これまでに見た中でも極端な動きが起きていると捉えるのがよさそうです。