先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業版指数は続伸、香港ハンセン指数は反発と、揃って上昇となりました。中国本土の株式市場は週初から堅調な展開に。8月9日(土)に発表された7月の中国消費者物価指数(CPI)が2.3%と、6月実績や市場平均予想と変わらなかったことから、中国人民銀行(中央銀行)が金融調整を緩和的に行うだろうとの観測が広がりました。また、福建省の住宅当局が、軟調な不動産市況に対する支援策として、不動産購入規制の緩和を行ったことから、不動産銘柄が買われ相場を牽引しました。この結果、8月11日(月)の上海総合指数は終値ベースで年初来高値を更新しています。

ただ、8月13日(水)に発表された7月の中国の経済指標については、小売売上高<前年比>が12.2%増(6月実績12.4%増、市場平均予想12.5%増)、鉱工業生産<前年比>が9.0%増(6月実績9.2%増、市場平均予想9.2%増)、中国固定資産投資<年初来>が17.0%増(1-6月実績17.3%増、市場平均予想17.4%増)といずれも市場平均予想を下回る結果となり、中国経済がスローダウンするのではないかとの懸念につながりました。この結果、8月11日(月)の大幅上昇後は利食い売りなども入り、週末まで、高値でもみ合う展開となっています。

一方、香港ハンセン指数も同じような展開となったのですが、先週は米国株が強い展開となったことが好影響を及ぼし、週を通して中国本土の株式市場よりも強い基調が続きました。個別では、中国インターネット最大手のテンセント(00700)が上半期決算を発表。決算内容自体は事前の市場平均予想を若干上回る好決算だったのですが、経営陣が同社の成長ドライバーである携帯ゲームの見通しについて、第3四半期と第4四半期はゲーム内容を拡充し、顧客満足を高めることに注力するため、緩やかな成長となると述べたことから利益確定売りが先行しました。今週は8月18日(月)に7月の中国住宅価格指数が、8月21日(木)に8月のHSBC中国製造業景況感指数速報値(7月実績51.7%増、市場平均予想51.5%増)が発表される予定です。特にここのところ大きく上昇しているHSBC中国製造業景況感指数については、足もとの欧州経済のスローダウンと人民元高により反落する可能性があり、注意が必要だと思われます。

コラム執筆:戸松信博