先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業版指数は続伸、香港ハンセン指数は反落となっています。中国本土の株式市場は、大型株よりも中小型株が堅調な展開に。8月4日(月)は規制緩和による資金流入期待から証券株が、不動産市況活性化対策で地方政府が不動産購入に関する規制緩和を行うとの観測から不動産株や銀行株が買われるなど、大型株も大幅上昇でスタートしました。しかし、その後は人民銀行が公開市場操作を通じて短期金融市場から2週連続で資金を吸収したことや、HSBCが発表した7月の中国サービス業景況感指数が50.0と統計開始以来で最低の水準となったこと(6月実績53.1)などから大型株に利食い売りが入るようになり、代わってここのところ冴えなかった通信株やIT株に買いが入り、中小型株が大きく上昇する展開となりました。
ただ、8月8日(金)に発表された7月の中国の輸出が予想を上回る結果となり、大型株の利食い売りが止まるキッカケとなりました。7月の中国の輸出は前年同月比14.5%増となり6月実績の7.2%増や市場平均予想の7.0%増を共に大きく上回りました。ただ、輸入は1.6%減と、6月実績の5.5%増や市場平均予想の2.6%増を大きく下回ってしまいました。これは外需の強さを象徴する一方、中国政府の倹約政策などによって内需が依然弱い状態であることを示唆する結果となっています。
一方、香港ハンセン指数は週を通して小安い展開となりました。こちらは地政学リスクの高まりから、米国株式市場が軟調となり、その結果アジア市場全般が軟調となったことが影響しています。個別では中国政府がチャットアプリに規制を課すとの観測からテンセント(00700)が下落したほか、7月のマカオの賭博収入が前年同月に比べ減少したことから金沙中国(01928)などのマカオ関連株が大きく売られました。今週は8月13日(水)に7月の中国小売売上高<前年比>(6月実績12.4%増、市場平均予想12.5%増)、中国鉱工業生産<前年比>(6月実績9.2%増、市場平均予想9.2%増)、中国固定資産投資<年初来>(1-6月実績17.3%増、市場平均予想17.4%増)が発表となります。これらも相場に大きな影響を与える見込みであるため、注目です。
コラム執筆:戸松信博