先週の中国株ですが、上海総合指数、深セン総合指数と香港ハンセン指数は続伸、創業版指数は反発となり、揃って上昇となりました。中国本土の株式市場ですが、週初から先週の良い流れを引き継ぎ大幅上昇。7月28日(月)は交通銀行(03328)が混合所有制度改革を推進していくと発表したことを手がかりに、中国政府当局が中国の銀行について民間や外資の戦略投資を大きく認める可能性があるとの観測が拡がったことから銀行株が上昇して相場を牽引しました。また、香港と上海の両株式市場の相互売買を可能とする滬港通(香港上海ストックコネクト)の開始日が10月中旬に決まるとの観測もプラスでした。

そして7月30日(水)には前政治局常務委員(中国政府のトップ)の1人であった周永康氏に対して中国当局が調査を命じたとの報道から石油関連株が買われました。周永康氏は中国石油(00857)の親会社である中国石油天然ガス集団(CNPC)の前身であった中国石油天然ガス総公司の社長を務めるなど、中国の石油王とも言われた人物です。中国政府内の権力闘争に伴う周永康氏の調査に向けて、中国石油天然ガス集団(CNPC)の経営陣が次々と捜査されてきたと見られており、周永康氏の捜査が正式に開始されたことで、中国石油天然ガス集団(CNPC)の経営陣への調査も山場を超え、延滞気味であった石油関連の開発プロジェクトが再開され、透明性が高まるのではないかという観測が背景にあります。

一方、週末には7月の中国公式製造業景況感指数が51.7、HSBCが発表する7月の中国製造業景況感指数確報値も51.7とそれぞれ発表され、高水準の結果となりましたが、既に想定範囲内であり、株価は利食い売りで逆に反落となりました。なお、香港ハンセン指数も概ね同じような動きとなりましたが、こちらは米国株が軟調であったことを背景に上昇率は上海総合指数ほどではなく、週間の上昇幅は小幅な伸びに留まっています。今週は複数の中国の経済指標が発表される予定です。8月5日(火)にHSBCが発表する中国サービス業景況感指数(6月実績53.1)、8月8日(金)に7月の中国の輸出(前年比)(6月実績7.2%増、市場平均予想7.5%増)と輸入(前年比)(6月実績5.5%増、市場平均予想3.0%増)、8月9日(土)に7月の中国消費者物価指数(6月実績2.3%増、市場平均予想2.3%増)、8月10日(日)に7月の新規人民元建て融資額(6月実績1兆800億元、市場平均予想7900億元)などが発表される予定で、それらを睨みながらの相場展開となる見通しです。

コラム執筆:戸松信博