トヨタの株が上がっています。いや、日本株は年末ラリーの様相で、もっと上がっている株はいくらでもあるのですが、日本の自動車関連株にとってはエポックメイキング的なニュースが出てきたこともあり、ここから息の長い上昇が見込めそうなのです。

思えば自動車株は、2024年の「型式指定」認証不正問題による国土交通省からの是正命令、2025年はトランプ相互関税の影響が懸念されて投資対象から外されてきました。また、トヨタなど日本の自動車メーカーにとっては、そもそも気候変動対策でCO2排出がないEV車シフトが世界的の潮流となったことが逆風でもありました。

ところがここにきてEUが2035年までにガソリン・ディーゼル車(ハイブリッド含む)の新車販売を禁止するとした目標を「撤廃」すると発表(12月16日)。このニュースを受けて、貴金属市場では白金族のプラチナ、パラジウムが猛烈に上昇しています。

プラチナ、パラジウムはガソリン・ディーゼルエンジン車の排ガスに含まれるCO2などを浄化する触媒としての需要が大きいメタルです。プラチナは宝飾品需要のイメージが大きいですが、その約4割が自動車触媒需要。パラジウムに至っては約6割にものぼります。

近年ゴールドの上昇が加速する一方でプラチナやパラジウム価格が低位に放置されてきたのは、ゴールドのような心理面に働きかける投資ニーズより景気や政策に左右される工業用需要が大きい貴金属であるためです。要するにトヨタが上がらなかったのと同じ理由で投資対象から外されてきたという側面もあるのです。

EUだけでなく、米国もカリフォルニア州が2035年までに新車販売をZEV(ゼロエミッション車:EV、FCV、PHEV)に100%転換する目標を掲げており、これを11州が追随していますが、トランプ米大統領は12月3日、新車の燃費規制を大幅に緩和すると発表、バイデン前政権時代に策定された目標を引き下げることでガソリン車の販売を続けやすくしています。

これまで、こうした規制が額面通りに実行されればプラチナ需要の約4割、パラジウムの需要の約6割が消失するリスクに直面するとして、価格が安価に放置され続けてきたのですが、見直しの機運にプラチナはなんと年初から約120%もの上昇、パラジウムは約95%もの上昇となっている、というわけです。

今年あれだけ上昇したゴールドは年初からわずか65%程度の上昇ですよ、プラチナ・パラジウムに比べると見劣りするくらいです。そして、出遅れていた自動車株。トヨタがいよいよ目覚めた2025年の年末ラリー。来年も期待できそうです!